激愛パラドックス
目の前には少しうつ向いたセンパイの姿が…。


ヤバい、立ち位置間違えたかも……。


スッとした鼻立ちに、密度の濃い長い睫毛も、薄い唇も、全てがキレイで、思わず息を呑みそうになってしまう。


ふと顔を上げたセンパイは、横に首を捻って遠くに視線を送った。


わっ、首筋がくっきり出てる………。



「センパイって、どの角度から見てもキレイですね…」


気づいたら、そんなことを口走っていた。


わー!!!また変なこと言っちゃった!


後悔している私を余所に、センパイは何故か頬を染めて口を手で覆っている。


「…んなこと初めて言われた」



「はい、私も初めて言いました」



もしかして、照れてるのかな?



そう思ったら、私まで恥ずかしくなってしまう。


……早く来ないかな、篤史センパイ………。



いや、やっぱりまだ来ないで欲しいかも……。



お互い照れてしまって、その後は篤史センパイが来るまでなにも話せなかったけど、この前感じたわだかまりは無くなっていた。



「なんか、毎回すみません」



コンビニの袋を受けとると、中にはサンドイッチが入っていた。


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