激愛パラドックス
「ユキ〜!好ちゃん来てるわよ〜」
久しぶりに夜更かしをした私は、今日の休みはお昼まで寝たおすと決めていた。まさか親友に妨害されるとは…。
携帯の待受画面で時間を確認する。
「…まだ7時前じゃんっ!」
眠いし、怠いし、最悪…。
ムクッとベッドから起き上がり、頭を掻きむしっていると、好が物凄い足音で階段を駆け上がってきた。
バン!
「ユキ!遅いっ!」
「…いやん、ノックしてよ」
「パジャマ姿のくせによく言うよ!」
「何しに来たの?」
今日遊ぶ約束なんてしてたっけ?
「…あんたねぇ!今日はサッカー部の練習試合の日でしょ!?まさか忘れてたんじゃないでしょうね??」
あっっ!!!忘れてた!
「わっ、忘れてないよ?やだなぁ、もう♪」
明るく返してすっかり忘れていた事がバレないように笑顔を作る。
「じゃあ早く作りなさいよ!」
「…へ?何を…?」
「クッキーに決まってんでしょ!?」
聞いた事のない地響きが起こりそうな低い声が、家中に響いた。
ヒィィ!!!!