激愛パラドックス
みんなにタオルとドリンクを渡していると、


「…大丈夫?」


と頭上から声がして顔を上げると汗だくの羽柴センパイの姿が……。


ドキン…!


「なっ、なにがでしょうか?」



「顔色…悪いから。お前も飲めよ」



えっ!?



羽柴センパイはそう言って、私の口元にボトルをくっ付ける。


キャーーッッ!!


「……いいから飲めって」



口を開かない私に、羽柴センパイは少しムッとした表情を見せる。



だって、だって!!
コレ、さっきセンパイが飲んでたヤツでしょ?


間接キスになっちゃうよぉお!!



「暑いんだから、水分はこまめに取る!」



うぅ……。


そうだ!意識しなければ良いんだ!



覚悟を決めて口を開き、ドリンクを喉に流し込む。



ゴクッゴクッゴクッ。



フェンスの向こう側から「キャーッ!」という悲鳴みたいな声が聞こえてきたけど、そんなのに構っている場合じゃなかった。






「…コイツ、暑さにバテてるみたいだから、日陰のある場所に休憩させたいんだけど」


タオルを首にかけたセンパイが、篤史センパイに言いに行く。



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