激愛パラドックス
チラッと篤史センパイが私を見ると、顔を戻して「良いよ」と笑顔を向けていた。


えっ!?私、まだ大丈夫なのに……。



「羽柴センパイ、私なら平気ですよ?」


私が持ってきたカバンをセンパイが手に取り、スタスタと出入口に歩いて行ってしまう。


無視かい!!


「ちょっと待って下さいよ!!」



追いかけて行くと、センパイまでもがグラウンドから出ていく。


「…センパイも出るんですか?後半戦始まっちゃいますよ?…作戦とか………」


ことごとく私の言葉をスルーして、大きな木の下まで来るとやっと立ち止まり、ベンチにカバンを置いた。


「……後半は出ないから」



それだけ言うと、ベンチに腰かける。



そうなんだ……。


ってことは、センパイと一緒に此処にいなきゃいけないの!?


余計に体調が悪くなりそう………。



「…座んねーの?」


センパイに見上げられて、ドキッと胸が跳ねる。

既に心臓は煩いぐらいに動いてんのに、隣に座ったらどうなっちゃうの!???




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