激愛パラドックス

「…はい」


精一杯返事をして座った場所はベンチの端。


「…………」


膝に肘を置いて頬杖をついたセンパイが、不満そうに私を見つめる。


……うぅ!見ないでぇ!

センパイの視線から逃げるようにうつ向く。


「警戒し過ぎだっつーの」



ポツリと呟いたセンパイの声が、私の耳にリアルに届く。



それほど私の聴覚はセンパイに集中してるってことなのかな…。



「…前に、キスしようとしてたから?」



「なっ!」


驚いて顔を上げ、口をパクパクすると、センパイは可笑しそうに笑う。


「ハハハッ!顔、真っ赤だ」



……からかわれてる。



「センパイ、私で遊ばないで下さい」


「遊んでねぇって。構ってやってんだよ」


私は犬か?



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