激愛パラドックス
こっ、怖いんですけど!!
「センパイ〜」
力強く叫んでも、センパイは振り向いてくれない。
…怒ってる!?
何に対して怒ってるかは全く分からないけど、なんとなく察してしまう。
「センパイ!行かないで下さい」
もう一度叫ぶと、遠くにいたセンパイがくるりと振り返って、耳に手を添える。
…もう一回言えってこと!?
「…行かないで…」
恥ずかしくって、消えちゃいそうなぐらい小さな声だったけれど、センパイは満足そうにコッチに向かってくる。
「応援しなきゃいけないんじゃねぇの?」
そんな意地悪なことを言うセンパイに、私は半泣きになりながらもおもいっきり睨み付けてみせた。
なのに……、
「誘ってんの?」
この男、一筋縄ではいかなさそうだ。
「違います!怒ってるんですってば!置いてくからっ」
「大丈夫。喰われる前に、俺が喰ってやるから」
ものすごい台詞をさらりと吐くセンパイに、私はというとお手上げ状態。
「…だからからかわないで下さいって」