激愛パラドックス

ご機嫌良さげなセンパイが腰を下ろした場所は、私の直ぐ隣。


近い〜!!!


「…それにしても暑いな」



「そうですね……」


「試合どうなってっかな」



「そうですね……」


「……今日何時に起きた?」



「そうですね……はっ!!!…」



緊張のあまり、センパイの問いかけに適当に返事していた私は、恐る恐るセンパイの方に顔を向けた。


「喧嘩売ってる?」


めっそーもございません!!



「すみません!!意識が飛んでました!」



「…おまえって、マジ退屈しない女だな」


ハハハッと笑うセンパイに、ホッと胸を撫で下ろす。



それから、スポーツドリンクを喉に流し込むセンパイの喉仏が上下するのを見て、ドキドキしたりして……。


こっちの方こそセンパイって見てて飽きない。


「…なに?飲む?」


「いいえ!!ただ、見てただけです!」


見すぎだ、私!


顔を逸らすと、センパイの手が追いかけてきて、私の頬を自分に向かせる。


「………」


「………」


無言のまま見つめ合う私たち。




真剣な眼差しに、私は何も言えなくなってしまう。



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