激愛パラドックス
胸の鼓動が早くなるのと同時に、周りの音がはるか遠くから聞こえているような錯覚に陥る。
顔を傾けて、唇を少しだけ開いたセンパイを見て、私はそっと目を閉じた。
「………」
柔らかい感触が、自分の唇に伝わる。
直ぐに離れなくて、そっと片目を開けると、伏し目がちなセンパイと目が合う。
ドキッ!!!!
「……ん」
角度を変えてキスを何度も繰り返すセンパイに、思わず声が漏れてしまう。
それと一緒に溢れだす、センパイへの気持ち。
このキスが終わったら、センパイに告白しよう。
未だ終わらない、終わって欲しくない、優しくて愛の籠ったキスに酔いしれながら、そう思った。