激愛パラドックス
「…センパイ」
話し終えてうつ向いていた俺に、ユキが遠慮がちに呼んだ。
「ん?」
顔を上げてユキを見ると、優しく微笑んでいた。
「なんて言ったら良いかわからないけど、私は…センパイが好きです。だから、ちょっとだけで良いんで信じてみませんか?私は、絶対にセンパイだけを見てますから……だから………」
小さくなっていく声とは裏腹に、俺の心臓はドクドクと音を立てていく………。
「…俺も、ユキが好きだよ」
その言葉に、握られていた手に力がこもるのがわかった。
「………」
「なんで黙るんだよ」
「だっ、だって…」
顔を真っ赤にさせたユキが、とても愛しく感じた。
ずっと、このままでいられたら良いのに………。
「俺、独占欲強いよ?」
「へ?」
突然の問いかけに、ユキは間抜けな声を上げる。
「ぶっちゃけ、ユキが誰かにヘラヘラしてんのもムカつく」
「…はぁ」
「雅也を呼び捨てにしてんのもムカつく」
「……うぅ」
「俺はただの“センパイ”なのに、篤司には“篤司センパイ”って呼ぶのも腹が立つ」