激愛パラドックス
当たり前のように言われて、顔がくしゃっと砕ける。
えへへ。
照れるではないか!
“彼女さん”
うん、いい響きだ。
「お疲れ様です」
「…なんでユキがいるんだよ」
乗せられて着いて来ちゃいました………とはとても言えない。
マネージャーさんに連れられてサッカーグラウンドに来てしまったけれど、翔は何故か不満足だった。
「橋野さんだ!」
「マジで翔と付き合ってんの?」
「いつ見ても可愛いね」
ウチのサッカー部って、基本チャラチャラした人が多いんだ…。
今まで翔しか見てなかったから知らなかったけど、イケメン揃いだな……。
「目移りしてんじゃねーよ」
ボコッ!
「イッターイ!」
頭に痛みが走って両手で頭を押さえると、地面にボールが転がっているのが見えた。
酷い!彼女にボールぶつけやがった!
「会いたかったから来ただけなのに酷いです!!」
涙目でそう訴えると、翔がなにもないところで躓く。
「……それ反則」
なにが?