戀愛物語
「紹介します。三森 巡(みもり じゅん)くんです。ええっと、名前を黒板に…」
担任が黒板に三森 巡と書く。ざわざわとクラス中から聞こえて来た。
そんな中、みことはずっと少年から目を離せなかった。
白詰襟とは対照的な襟足の長い黒髪。まるで、夜のような美しい髪。
「じゃあ三森くん、皆に挨拶をしてください」
――知っている。私は彼を、見た事がある。
「三森くん? 三森くん、挨拶を…」
慌てたような声に、はっと我に返る。
…こっちを、見ている。三森巡という少年とみことは、間違いなく目が合っていた。