戀愛物語
みことの唇を覆っているのは、間違いなく目の前の少年の唇。
いったい何がどうなっているのかと気がつくのに、みことは数秒を要した。

触れるほどのキスを、されている。夢で見た男の子と、同じ顔をした男の子に。
しかしいきなりこんなことをされて、恥ずかしくないわけがない。
みことは自分の持てる力を全て出し切り、巡を押しやった。

「…っ…な、な…っ!?」

やっとの思いで出た言葉は、一言だけだった。
口元を覆って巡を見る。全く感情を浮かべていない彼の表情は、何を考えているのか理解が出来ない。
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