戀愛物語
そのまま無視しようとも思ったが、あそこを通らねばまた引き返して別の道を行かなければならない。
通れるか通れないか、それだけでも確認をしようと躊躇いがちに近づいて行く。
すると並木道の風景が少し違っていることに気がつき、思わず首を傾げた。

街灯が、ない…?

いつも通っている道だ。微妙な変化でも気がついた。
案の定、人集りの理由は倒された街灯だった。そしてその街灯のそばに広がっていたもの。

「……血…?」

大きく、点々と。
その場には飛沫を上げた後に広がったような赤い血だまりが出来ていた。
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