戀愛物語
 
「壊れてるね」

ノイズ混じりの機械の音を聞いたような錯覚に捕われた。
どくん、どくんと全身が悲鳴を上げている。

「けど、そんな君も僕は好きだよ」

悲鳴を、上げた。
声の主が誰なのか理解して、耳を塞いで叫んだ。

「僕のために泣いてくれるの? 嬉しいな」

みこととは全く逆な、穏やかな声音で遡羅は呟いた。
嬉しそうに、近づいて来る。
< 80 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop