あなたが来てくれて嬉しい
「おはようございまーす」
おれの仕事、ビジネスホテルのフロント。
ついでに下っぱ。
勤務時間は長いくせに、安月給で困る‥‥。
‥まなにとったら、甲斐性の無い彼氏だろうねぇ、おれって。
ふぅっと軽いため息をついて、ホテルの裏口から中に入り、制服に着替える。
事務所に入ると、支配人代理の小松さんがデスクで日報を書いていた。
「ぉ、くっすん。おはよー」
「小松代理、おはよっす」
小松代理はのんびりした性格の、このホテルの古株。
役職は支配人代理、
おれをけっこう可愛がってくれてる。
「今日ちょっと寒いだろ?風邪ひいて小野田にウツすんじゃないで」
小松代理はまなのこと知ってる、まなもここで働いてたから。
「はい、ありがとうございます」
おれは笑顔で頭を下げた。
おれ、この人のこと好き。
全部分かってくれてる、そんな感じするから。