あなたが来てくれて嬉しい

目を閉じてしばらく、浅い眠りに落ちていた。


夢をみた。


まなが泣いてる夢、


ふーにゃんがしっかりと覆いかぶさるようにして、まなを抱きしめてた。


それを見て、やっぱりなって夢の中の自分は考える。


悲しくなっておれは背を向けちゃうんだけど、


そしたら、


トンッ


まながふーにゃんの腕から抜け出して、おれの背中に飛び付いてきた。



「ぱとらっしゅ…」



「‥‥‥‥‥」



‥‥意味は分からないが、『ぱ』行の言葉を発する彼女は何故こんなにも可愛いんだろう。


「うんうん、まながネロなら、おれはパトラッシュな」



おれも、夢の中でよくわからないこと言ってた。



背中で受け止めていた彼女を、フロントに回して優しく髪をなでる。



「くす、泣いたらねぇ、わたしおなかがすいてしまった」



言うと思ったわ、って笑いながらおれが呟いて、



その自分の声に起こされて目が覚めた。



目をうっすら開けると、まだ空は端が黄色がかっていて、部屋の空気は目を閉じる前より冷たくなっていた。




こんな寒い中で、



こんな心境、状況で、



よくこんな、




あったかい夢をみれたもんだ。

< 61 / 66 >

この作品をシェア

pagetop