ある日俺はお前の父ちゃんになる。
そんな沈黙を破ったのはあかりの方だった。
「‥あの、」
「何?」
「もう大丈夫なんで。」
「へ?」
「行くところあるんで。」
「でもおばさん、お前を預けたって。」
「あたしから解放されたかったから、あなたに押し付けただけですよ。」
あかりは髪を耳にかけた。
キラキラ光るピアスが目立つ。
コイツ何個開けてんだ?ってぐらい穴が開いてる。
「でもお前未成年でしょ。行くとこっつっても金ないじゃん。」
「‥。」
「俺の事気にしてんの?」
のぞみは俯いた。
何?俺に迷惑かけるからとか思ってくれてる?
「お前いいヤツだなっ♪」
勝手に解釈し、勝手に満足げな俺にあかりは俯いたままだ。
「暑ぃよな?クーラーつけるからそこら辺座っときな?」
俺はクーラーのリモコンを探した。
「どこやったっけ?」
ガチャ
ドアの開閉音が聞こえた。
「え?」
振り返ると、
あかりがいねぇー!!
「‥‥はっ!?」
俺は辺りを見渡す。
まぢで出ちまった。
「めんどくせぇ‥」
頭をかき、玄関に掛けてあるバイクの鍵を探す。
はっ!?ねぇんだけど!!
アイツか‥、
俺は家を飛び出し、駐輪場に向かった。