悲しむ蛍と微笑む蛍
 だれもがみな、わらったり、ほほえんだりして幸せにすごしていた。

 とつぜん よきせぬ 津波がいっしゅんにして町や村をおそう。

 手をはなさす、足をすくう、のみこまれる。

 だれもが悲しんだ、だれもがまよった、だれもがなやんだ。

 くるしんでもくるしんでも、それでも一歩ずつ、一歩ずつ、少しずつ、少しずつ、前に進んだ。

 知らず知らずに時は、経っていった。

 そして長い長い年月かけて人々が過去を忘れる時間に入った時に町や村は、栄えた。

 しかし、誰一人として故人を忘れる人は、いなかった・・・・・・それは、みんなが同じ日の同時刻に両手を合わせたり、黙とうを重ねる事を忘れたりしていなかったからだった・・・・・・。
写真に話しかけたりする。
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