それぞれに、さよならを。


「意義有り!」



「却下。」



「…最悪…」



「は?」



「………、」



立ち上がったまま問答を繰り返し、負ける私。情けなさ倍増だ。



「…私、入らないですよ」



隣に座ったまま私の名前の下にペンを走らせる、変質者。



「こんなの無効です…!」



「んー…でも書いてもらったし。…よし、これで後は出すだけかなー…」



どこから出したのか赤い色のハンコが見えるそれ。



「…出さなくていいです。入りませんから!」



そう声を上げると目の前に出された1本の指。



「いち。」



私を射抜く様に見つめる、茶色の瞳。



「……、」



「おとなしく、サークルに入る。」



「…だから、」



私の言葉を遮って立たれた二本目の指。



「に。…俺と、付き合う。」



「……。」



「さん。…んー…三は思い付かないからどっちか選んで」



黙りこくった私に、可愛いらしく小首を傾げる。
< 15 / 21 >

この作品をシェア

pagetop