それぞれに、さよならを。


「あー良かった。断られたらどうしようかと思っちゃった」



にこにことそんな事を言ってのけるのは、変質者。



(…断ったはず、なんですけどね)



この数分のやり取りで話しが通じないと悟った私は無言で受け流す。



「でもちょっと残念〜。俺と付き合ってくれた方が個人的には良かったんだけど」



(…そんなの本気じゃないくせに)



「…とりあえず、今日はこれで失礼します」



何だか良く分からないままサークルになんか入っちゃうし。お昼も食べそこねるし、今日は厄日かなんかか、そんな事を考えながら頭を小さく下げた。



「あ、美月ちゃん。今日歓迎会やるから講義終わったらここに来てね。…これ、部長命令」



扉の前に立つ私に後ろから理解不能なそれ。



(…本当に今日は、厄日だ)



ため息を吐いて図書室を後にした。
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