君が僕の名を呼ぶから
涼子が気になるという気持ちが、恋であるということに気づくのには、さして時間はかからなかった。




「……聡史くん。」




「ん?なぁに?」




僕は涼子と過ごし、季節が変わっていくなかで、次第に笑顔を取り戻していった。




「これ……バレンタインのお菓子。」




「……えっ?僕に?」




涼子は、僕に柔らかく微笑んでくれるようになった。




「ありがとう……。涼子。」




バレンタインに女の子からチョコレートをもらうっていう経験も初めてだったから、本当に嬉しかった。




「……ふーん。聡史は涼子と本当に仲良くなったな。」




涼子がいなくなると、どこから現れたのか、拓真くんがいた。




「……見てた?」




「あぁ、それはもうバッチリ。」




僕は、自然に顔が熱くなっていくのを感じていた。
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