君が僕の名を呼ぶから
「初めてだったから、何か照れくさくて……。」




「それは仕方ないさ。何でも生まれて初めての経験ってやつはそんなもん。」




拓真くんはそう言って笑った。





「……なぁ、涼子のこと好きか?」




拓真くんは僕の顔を見ていなかった。



ただ、当たり前のように、流れの中で聞いたような感じだった。





「……多分。」





僕は、顔を赤らめながらそう呟いた。




「……そっか。」




拓真くんはそう言うと、しばらく沈黙を保った。




「まぁ、まだ小学生だし。あんまり悩みすぎんなよ。」




「……悩んでるように見える?」




「うん。初恋って大変だろ?」




僕は静かにうなずいた。
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