君が僕の名を呼ぶから
「……この話をする前に、聡史に謝っておかなくちゃならないんだけど。」
「謝る?」
僕は深くうなずいた。
「……きっとこの話は聡史が一番最初に聞くことになるだろうなって思ってた。でも今日、聡史と離れてた間に、城山さんに話しちゃったんだ。」
僕がそう言うと、聡史は困ったような微笑みを浮かべた。
「……僕もね、翼に一番最初に打ち明けようとしてたこと、田山さんに話しちゃった。だから、謝るなら僕も同じ。」
「……そっか。」
お互いに何故、彼女たちに話をしようと思ったのかはきっと上手く説明ができない。
でも、こうして事実を語り合えたことで、妙な安心感を感じていた。
「……僕も翼の話をしっかり聞いた後に、僕の話をしたい。」
聡史は、真っ直ぐとした視線で僕を見つめながら、しっかりとした口調で言った。
「……だから、ゆっくりでいいから、話して?」
僕は、その聡史の言葉を受けて、ゆっくり口を開いた。