君が僕の名を呼ぶから
今日、城山さんに話したことを、出来るだけ分かりやすく話した。
真希という幼なじみがいたこと。
僕は、彼女のことが大好きだったこと。
そして、彼女には障がいがあったこと。
聡史はうなずきながら、僕の話をしっかり聞いてくれていた。
「……中学を卒業する年。初めて真希と一緒にいられなくなる状況が僕を襲ったんだ。」
「……うん。」
「ある程度は分かってたことなんだけど、真希は一般の高校には行けない。でも、僕は大学に行くためにも一般の高校に進学しないといけない。初めて、僕たちの運命が外れた。」
「……うん。」
僕は、また真希との想い出の世界に向かおうとしていた。
「……中学三年の夏の県大会で、僕たちは三位で全国には行けなかった日。真希と話をしたんだ。」
「……ゆっくりでいいよ。」
聡史は、言葉がなかなか出てこない僕にそう言ってくれた。