君が僕の名を呼ぶから

「平岡。お前、進路は決めてるのか?」




「いえ……まだ……。」




試合の翌日、僕は担任との面談に臨んでいた。




「もう夏休みに入ってるんだ。部活も引退したことだし、受験のことを考える必要があるだろ。」




「はぁ……。」




僕は、真希の傍にいられればそれでいいと思っていた。




きっと真希は、僕と同じ高校には行けない。




もし行けたとしても、行かないで、絵の才能を磨いたほうがいい。




いつまでも、真希の一番近くにいられるなんて無理だと、分かっていたつもりだったのに、やはり受け入れたくない事実があった。




「まぁ、俺は夏休みも学校に来てるから。早めに方針を決めて、相談に来るように。平岡の成績なら、どこの高校でもきっと大丈夫だからな。」




僕は、そう担任に言われ、職員室をあとにした。
< 117 / 244 >

この作品をシェア

pagetop