君が僕の名を呼ぶから

「……でもね、翼くんは真希のために、諦めたり、我慢したりする必要はないの。」




……真希のお母さんは、少し強めの口調でそう言う。




「……真希とずっと一緒に過ごしていくのは、そんなに簡単で楽しいことばかりじゃない。私は、あの子の親だから、どんなことも一緒に戦うって決めたの。でもね、翼くんにはまだまだたくさんの可能性がある。何にだってなれる。普通の女性と恋愛をして、結婚することだってできる。」




……僕には、よく分からなかった。




いや、正確に言うと分かりたくなかったのかもしれない。




「……真希のために、翼くんの人生の幅を狭めたりしないでね。」




真希のお母さんは、ただ立ち尽くしている僕にそう言い残し、去っていった。




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