君が僕の名を呼ぶから
僕は、人間として全ての項目において普通以下の水準だと思う。


特に秀でた要素はない。



こんな僕に愛されて嬉しがる人間はこの世にいない。



僕が人を愛することは、迷惑以外の何物でもないんだ。




「ねぇ、聡史。」




「うん、なぁに?」




聡史は玉子のサンドウィッチを食べながら、




そして、僕はツナマヨと鮭のおにぎりを食べながら、



会話が続く。




たくさんの人が周りにいるけれど、




聡史といるとその雑音も、視線も、不思議と気にならない。




「……僕は、聡史の友だちだよね?」




「うん。どうしたの?急に。」




「……いや、何でもない。ごめんね。」




聡史はキョトンとした表情を浮かべていたけれど、すぐに笑顔になった。




「さてと……次は、英語だよね?」



聡史は僕の隣を歩きながら、尋ねてくる。




「うん。」




……今の状況を、守ることが僕の幸せだと改めて思っていた。
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