君が僕の名を呼ぶから
……僕は、真希といることが幸せだと思っていた。




でも、それは僕だけが思っていたことで、




周りから見れば、自分で自分の未来を狭めていただけということなのか。




僕は、途端にどうすればいいか分からなくなった。




真希といる人生、それ以外の人生を選んで、僕は幸せになれるのだろうか。




高校受験という区切り、この先、真希との距離が広がっていくだろう
この岐路に、




僕は、自分の意志を見失ってしまった。







「おかえり。面談はどうだった?」




「……別に、何もないよ。」




家に帰り、母さんの問いかけに、ぶっきらぼうな返事をする。




「別にって、高校どこにするとか決めてきたの?」




「……まだ。」




「どうして?」




「……行きたい高校、あんまり思い浮かばなくて。」



母さんは、大きくため息をついた。




「翼、もしかして真希ちゃんの傍にいようとか、真希ちゃんのために何かをしようみたいなこと、考えてないでしょうね?」




「……もしそうだったら、何か悪い?」




僕がそう言うと、母さんの表情が怒ったようになった。
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