君が僕の名を呼ぶから
「わぁ〜。すごいね!翼くん。」
僕は、それから約束通りに真希と遊園地にやって来た。
「……うん。」
真希の目は、汚れを知らない。
遊園地は初めてではないはずなのに、1つ1つの物に、新鮮なリアクションをする。
……こんなに純粋な彼女といて、何がいけないというのだろう。
「翼くん?だいじょうぶ?」
「あ……うん!何に乗ろうか。」
「真希ね……あれがいい!」
僕は、真希との最後になるかもしれないデートを楽しもうと、意識を切り替えた。
……どうせ、今日が辛い日になるなら、その辛さがやってくるまでは、楽しみたい。
真希の笑顔を忘れないように、脳裏に焼き付けたい。
そう思った。