君が僕の名を呼ぶから

「……何が違う?」




「何か、かなしそう。」





……やっぱり隠し通せなかったか。




「……真希。」




「ん?なぁに?」




「……。」




言葉が出なかった。




思い切り嫌われよう、傷つけてもらおうと思っていたつもりなのに、




思い浮かぶ言葉は、優しい言葉ばかり。




「……どうしたの?」




真希は、何も言わない僕の顔を覗き込んでくる。




「……真希は、俺といて幸せだった?」




「うん!」




……やめて。




「……真希は、俺と一緒にいたい?」




「うん!」




…………やめてよ。




「……真希は、俺のことが好きだった?」




「うん!」




……もうこれ以上、真希のことを好きにさせないで。



……僕は、涙を流していた。
< 126 / 244 >

この作品をシェア

pagetop