君が僕の名を呼ぶから
「……だから、バイバイ。」





僕はそう言うと、慌てて家のほうに走った。





泣きそうな、辛そうな表情を浮かべている真希を見なくていいように。





……でも、あんなに長い間大切にしてきた真希の笑顔よりも、




一瞬見せた、その悲しそうな表情が脳にこびりついて離れなかった。





「……真希。」





……僕はこれから真希を想い、涙を流すのだろう。





どれだけ自身を責め続ければいいのだろう。





その答えは見つかりそうにもなかった。
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