君が僕の名を呼ぶから
そして、僕は翌日から真希を徹底的に避けるようにした。
教室で一緒の時は、誰かと一緒にしたし、登下校も時間を大きくずらした。
そして、暇な時間を作らないように、塾にも通うようにした。
……それでも、時々浮かぶ二回のキスと、悲しそうな真希の表情が脳裏をよぎることがあった。
「……平岡。お前、何があった?」
「……何がですか?」
二学期が終わる終業式の日。
一日が終わって、僕は担任と職員室で面談をしていた。
「……人が変わったみたいだな。」
「……成績は上がっているはずです。何の問題もないでしょう?」
「それはそうだが……。」
「失礼します。」
僕は、担任が言いかけた言葉を遮り、職員室をあとにした。
……街はクリスマスだった。
「……雪が降りそうだな。」
窓の外に広がる重たく暗い雲を見て、僕はそう呟いた。