君が僕の名を呼ぶから
「……ただいま。」
「翼……大丈夫?」
「……何が?」
家に帰ると、母さんが心配そうに僕に尋ねてきた。
「……何か暗いし、勉強ばかりしてるし……。」
「……何か間違ってることしてる?」
「そうじゃないけど……。」
「……じゃあ、いいだろ。ほっといて。」
僕は、そう強く言い放ち、部屋に入った。
「……真希。」
真希の名前を呼ぶ度に、僕は心の中から、大切なものを失っていた。
大好きな人なのに、周りは認めてくれない。
僕は、ただ自分を無感動的にしようとしていた。