君が僕の名を呼ぶから
僕は、それから春に公立の高校に合格し、卒業式を迎えた。
「……僕は、卒業式には出ない。」
「……ちょっと、何言ってるの?」
卒業式当日の朝。僕は母親とケンカをしていた。
「翼、一生に一回のことなのよ。」
「……行きたければ、母さんだけで行けば?」
「翼!」
「行ったら色々思い出すだろ!……母さんのせいなのに、そのこと棚にあげて、偉そうなこと言うんじゃねぇよ!」
生まれて初めて、母さんに声をあらげ、わがままを言った。
母さんは、僕のその言葉には反論せず、ただうつ向いていた。