君が僕の名を呼ぶから
〜現在 翼〜
「……酷いでしょ?僕。」
「……翼。」
「……母さんは悪くないのに。結局は、僕が悪いのに人のせいにして。それにね、未練がましく、卒業式が終わったあと、こっそり学校に行って、真希の下駄箱に第二ボタンを入れたり…したんだ…。僕は、本当に情けない。」
僕がそう言うと、聡史は僕の頭に手を置いた。
「……よく頑張ったね。」
不思議と泣きたいとは思わなかった。
城山さんの前ではあんなに泣いてしまったのに。
「……じゃあ、僕の話も翼に聞いてもらおうかな。」
「……いいの?」
「うん。何故か田山さんに少ししゃべっちゃったけど、全部は翼にだけ話しておきたいんだ。」
聡史の表情が、悲しげに見えた。