君が僕の名を呼ぶから
「……涼子?」





僕たちは外に飛び出し、しばらく走り続けて、近くの公園にやってきた。





「……どうしたの?」





僕は、肩を震わせ、泣いている涼子を、抱き締めてあげることしかできなかった。





「……あの人たち、私の両親だって。」





「……えっ。」





僕は、あまりの衝撃に言葉を失った。





「……私を引き取りたいって。」





僕は、どうもその話が信用できなかった。





女の人はともかく、男の人は涼子の父親らしくない。




久しぶりに会った我が娘を、あんな氷のような目で見るなんてあり得ない。





「……私、聡史くんと一緒にいたい。私の人生には、聡史くんだけいればいい!」





涼子はそう言って、また大声をあげて泣き出した。




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