君が僕の名を呼ぶから
愛しい人を求めて
「城山さん。」
僕は、ご飯を食べている城山さんに話しかける。
聡史も田山さんに話すみたいだ。
「……平岡くん?」
「少しいいかな?」
僕はそう言って、城山さんの向かいの席に腰をおろした。
「……今日は、ごめんね。」
「ううん。気にしないで。」
「……ちゃんと聡史にも話したし、僕もちゃんとしなきゃって。」
「そう……。」
僕は、城山さんの顔を見ているが、城山さんはうつ向いている。
「……私、平岡くんの話を聞いて、真希さんのことも聞いて、諦めようと思うの。」
「……諦める?」
城山さんはうなずく。
「平岡くんのこと、好きよ。でも、私は真希さんと平岡くんが幸せになってほしいと思っちゃった。それに……私は、真希さんには敵わない。」
「城山さん……。」
彼女はそう言って、水を一口飲んだ。