君が僕の名を呼ぶから
それから夕食を終えて、部屋に戻った。




「お風呂、入りに行く?」



僕は、翼に尋ねる。




ベッドの上で、何か真剣な表情してるな……。




「今はいい。さっきの頼み事の話したいんだ。」




僕は、翼の向かいに座った。




「……僕にできること?」




「……聡史にか頼めない。」




僕は微笑んだ。




……何で微笑んだの?って聞かれちゃうと、少し返答に困るけど。




「じゃあ、いいよ。引き受けてあげる。」




僕がそう言うと、翼もやっと表情を和らげた。




「……僕の実家についてきてほしいんだ。」




「翼の実家?」




翼は、ゆっくり頷く。




僕が、翼の実家に……?




「……大学に入って一度も帰ってないから、ちょっと怖いんだけど、帰らないと真希に会えないし。でも1人だと、何かあったときに潰れちゃいそうだから……。」




……翼。




僕は、心から翼の力になりたいと思った。
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