君が僕の名を呼ぶから
僕は、もう翼以外の人と仲良くならなくてもいいと思う。
まだ話してないけど、
いや、もしかしたら一生話せないのかもしれないけど、
僕には人と接するにはあまりに大きすぎる傷がある。
翼にその傷を見せたとき、
かろうじて塞がっているように見えていた傷は、途端に開いて、
翼も、そして僕も、飲み込んでしまうような気がする。
今は、どうしてそんな諸刃の剣みたいな傷を背負っているのに、
翼と仲良くなりたいと思ったかは上手く説明できないけど、
衝動的に感じたんだから、仕方ないよね。
翼といると何故か素の自分に戻れるような気がするんだ。
……この傷も忘れられるくらいに。