君が僕の名を呼ぶから
僕は、真希の髪をもう一度撫でた。
……こんな僕を、ずっと想ってくれていた真希。
それから、僕はずっと逃げていたんだ。
だから、今度は僕は逃げたくない。
「……ん。」
その時、真希がゆっくりと目を開けた。
「……翼くん。」
「……よく寝てたな。」
「……いいゆめだったよ。」
「夢?」
真希は微笑む。
「……翼くんに、ぎゅっとしてもらう、ゆめ。」
僕は、それを聞いて真希をゆっくり抱きしめた。
「……いつでも言って。夢じゃなくて、本当に抱きしめてあげるから。」
僕たちは、しばらくそのままでいた。