君が僕の名を呼ぶから
「……聡史。ちょっと話があるんだけど。」
「……うん。僕も。」
夜になって、家に戻り、聡史に全てを話そうと思った。
「……翼から話す?」
「……うん。じゃあ、そうする。」
僕はしばらく間をおいた。
「……真希が、もう永くないって、真希のお母さんから聞いたんだ。」
「……そっか。僕も、翼のお母さんから聞いて、言わなきゃいけないって思ってたんだ。」
聡史は、悲しそうな表情を浮かべている。
「……僕は、それでも真希の傍にいたい。」
「……僕は、翼がそう決めたなら、応援するよ。」
「……ありがとう。」
僕は、そう言った途端、涙がこぼれた。
何か、泣いてばっかりだな……。
「……僕は、大学を休学して、真希の傍にいるよ。」
……そう言う僕の背中に、聡史は手をおいてくれていた。