君が僕の名を呼ぶから


「……もう大丈夫?」




「……うん。ありがとう。」




それからしばらくして、聡史は口を開いた。




「……じゃあ、次は僕の番だね。」




「……うん。」




僕と同じように、聡史は間をおいた。




「……さっき、僕が育った施設から電話があってね、涼子が見つかったんだって。」




「……えっ?」




……涼子さんが?




「……よかったじゃん!」




僕がそう言うと、複雑な表情を浮かべる聡史……




何でだろ?




「……嬉しいよ。涼子が見つかったことも、会いに行けることも。でもね、涼子は……僕に会いたくないって言ってるらしいんだ。」




「……どうして?」




「……両耳の聴力を失ったんだって。」




……そんなことって。



< 214 / 244 >

この作品をシェア

pagetop