君が僕の名を呼ぶから
「僕もね、苦手な子がいるんだ。」
「……翼に?」
「うん。城山(しろやま)さん。」
城山観月(しろやまみづき)。
彼女は田山さんとは違って、元気ハツラツ娘って感じのかわいい子だ。
「……理由は聞かないほうがいい?」
聡史は僕とは違い、こんなときでも冷静だな……。
「……告白はされてないんだけどね、何かアプローチのかけ方が凄くて……どうしていいか分からないんだ。」
城山さんは、学科内の女子で唯一、僕に話しかけてくる。
よっぽどの馬鹿でないかぎり、
僕に対して、多かれ少なかれの好意を持っていることは分かる。
……その真っ直ぐさが、僕には辛い。