君が僕の名を呼ぶから
「そっちは?」
拓真くんは、翼たちを指さしてる。
「……僕の親友の翼と、その彼女の真希さん。」
「こんにちは。」
「こんにちはー!」
「こんにちは。聡史の友達なら歓迎するよ。」
……よかった。
ここは何も変わってない。
「……涼子は?」
「……うん。あの部屋にいるよ。」
あの部屋。
多分、僕たちが最後にこの施設で過ごした部屋。
「……翼。僕、行ってくるね。」
……きっと翼と出逢わなかったら、二度と涼子とは出逢えなかったかもしれないから。
「……うん。真希。少し外に行こっか。」
「うん!行く〜。」
……だから、ありがとう。