君が僕の名を呼ぶから

「そっちは?」




拓真くんは、翼たちを指さしてる。




「……僕の親友の翼と、その彼女の真希さん。」




「こんにちは。」




「こんにちはー!」




「こんにちは。聡史の友達なら歓迎するよ。」




……よかった。




ここは何も変わってない。




「……涼子は?」




「……うん。あの部屋にいるよ。」




あの部屋。




多分、僕たちが最後にこの施設で過ごした部屋。




「……翼。僕、行ってくるね。」




……きっと翼と出逢わなかったら、二度と涼子とは出逢えなかったかもしれないから。




「……うん。真希。少し外に行こっか。」




「うん!行く〜。」




……だから、ありがとう。

< 220 / 244 >

この作品をシェア

pagetop