君が僕の名を呼ぶから
「……いい子たちだな。」
「……うん。翼は本当は辛いはずなのに、笑ってくれてる。」
「……辛いはず?」
僕はゆっくりうなずく。
「……翼と真希さんは、僕と涼子みたいに、長い間顔を合わせてなかったんだ。真希さんは知的障がいを持っていて……。そんな2人がやっと繋がり始めたと思ったら、真希さんはもう永くないことを急に聞かされて……。」
拓真くんは、僕の背中に手を置いた。
「……人生って分かんないもんだな。生きたいと思ってる人間とか、生きるべき人間が傷ついたり、死んだりして、死んでもいいように思う汚い人間とか、嫌いな人間は死ななかったりする。」
「……うん。」
「まぁ、でも1つだけ言えるのは、翼くんが真希ちゃんに今会えたのも、その真希ちゃんの未来も、運命だってこと。」