君が僕の名を呼ぶから


「……運命?」




拓真くんはしっかりとした眼差しで僕を見つめながらうなずく。




「運命を信じない人間にこんな話は通用しないんだろうけど。運命って人間には変えられないから、変えようって思うんじゃなくて、受け入れようと努力してみたらいいと思うんだよな。」




「受け入れる努力……」




「努力しないなら、人を想ったり愛したりしないほうがいい……っていうのは極論だけど。人を愛するっていうのはさ、お互いの運命をちゃんと受け入れて、その上で笑っていられる関係だと思う。」




……そっか。翼は、今悲しいだろうけど、ちゃんと真希さんの運命に向き合おうと努力してるんだ。




……あれ?




その時、珍しく哲学的なことを語る拓真くんの左手に、指輪が光っているのに気がついた。


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