君が僕の名を呼ぶから
「……拓真くん、結婚したの?」
突然の僕の問いに、拓真くんは少し焦った素振りを見せる。
「あ、あぁ。先月、結婚したんだ。」
……その言葉を聞いた瞬間、自分のことのように嬉しさが、胸一杯広がっていった。
「おめでとう。」
「ありがとう。ま、色々大変だったけどな。」
「……そっか。」
……きっと今、拓真くんは幸せなんだ。
「……あ、悪い。すっかり話しこんじゃったな。」
拓真くんは急に真剣な面持ちになった。
「……涼子の運命に、お前は必要不可欠だと、俺は思う。涼子の運命を、受け入れられるのもお前だと、俺は思う。だから……涼子にお前の気持ちを伝わるまでぶつけてこい。」
拓真くんはそう言って、ノートとペンを僕に渡してくれた。