君が僕の名を呼ぶから
……そこにいたのは、一瞬誰か分からないくらいに美しくなった涼子だった。
陽に向かい、ベッドに腰を下ろしている。
僕の存在には気づいてないみたいだ。
僕は、しばらく立ち尽くし、涼子の美しさに心を奪われていた。
……その時だった。
涼子が僕の方に顔を向けた。
……涼子は、目から涙を流していた。
僕の存在を確かめると、その涙を手で拭い、僕と距離をとろうとした。
「待って!」
咄嗟にそう叫んだが、涼子には聞こえていない。
僕は慌ててノートに文字を綴った。
『話、聞いてほしい。』
僕のその言葉を見て、涼子はようやく真っ直ぐに僕の目を見てくれた。