君が僕の名を呼ぶから
僕は何より、涼子の不安を包み込んであげたかった。
『耳が聴こえない私なんかより、普通の恋愛をして、普通の女の子と幸せになってよ。』
……まだ、言ってる。
そんなこと言われても、僕は涼子以外の女の子は愛せない。
『涼子はそれで幸せになれるの?』
僕のその問いかけに、涼子はしばらく間を置いてしまう。
『僕の幸せは涼子の幸せだよ。僕の幸せは涼子がそばにいなきゃあり得ない。もし、涼子の幸せが僕がそばにいないことなら、僕は一生幸せなんかいらない。涼子の幸せが叶うように、涼子のそばから離れるよ。でも、もしそうじゃないなら、僕と一緒にいてくれないかな?』
……精一杯の告白だった。
涼子の本当の気持ちを聞きたかった。