君が僕の名を呼ぶから
「……そっか。」




それからしばらくの間、どちらも言葉を発することはなかった。




お互いを知らないことが、



不思議と友だちであるような条件になっていたのに、




初めてその環境が崩れた。




きっと、僕も聡史もどうしていいか分からなかったんだと思う。






「……とりあえず、帰りますか?」


しばらくして、聡史が少しぎこちなく笑いながら言った。



「……うん。」




それに僕もぎこちなく返事をした。
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